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レジ袋有料化から半年。もらわない人は倍増、でも問題が解決したわけではない

Gyoppy! 編集部

有料レジ袋 1枚2円の札
画像:アフロ

2020年7月1日からレジ袋が有料化され、この1月で半年となります。経済産業省によるレジ袋有料化政策は、増え続けるプラスチックごみの社会課題化を受けて実施されました。

レジ袋有料化は、多くの人がその影響を直接受けるため、当事者意識を持つ人がたくさんいます。そのため政策の実施当初から、賛否両論(意味ある・ない)に分かれる状況が続いていました。それは今も変わりません。

では、その政策の効果はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。実際にレジ袋をもらう人は減ったのでしょうか? 日本のレジ袋問題及びプラスチックごみ問題はこれからどうなっていくのか、どうしていけばいいんだろう? 具体的な数字を交えながら解説していきます。

安藤光展さん

筆者:安藤光展

Twitter: @Mitsunobu3
専門は、CSR/SDGs経営、サステナビリティ情報開示。著書は『創発型責任経営-新しいつながりの経営モデル』(日本経済新聞出版)ほか多数。2009年よりブログ『サステナビリティのその先へ』運営。大学卒業後、インターネット系広告会社などを経て2008年に独立。一般社団法人CSRコミュニケーション協会・代表理事。

(本稿の「レジ袋」は、コンビニやスーパーを始めとした小売店で使われる、プラスチックが含まれたビニール袋の総称です)

なぜレジ袋を有料化することになったんだろう

そもそも、なぜレジ袋は有料になったのでしょうか? もともとは、プラスチックごみの問題が社会課題となっていたことが大きなきっかけです。その対応策のひとつとして、有料レジ袋が法制化されたのが2020年7月。経済産業省によれば、プラスチックごみを減らすための「啓蒙・啓発」が目的とされています。

プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。
このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。

つまり、レジ袋有料化の本来的な意図は、レジ袋をできる限り使わないことを通じて、ごみを始めとした環境負荷を減らせるよう、ライフスタイル全体の見直しもしてほしい、ということです。

で、実際にレジ袋は減ったの?

コンビニからレジ袋を下げて出る人
画像:アフロ

さて、それでは実際にレジ袋をもらう人は減ったのでしょうか? 結論から言いますと、もらわない人は約2倍になりました。

環境省の調査によれば、レジ袋をもらった人の中でも81.8%は「かなりの割合で再利用している」ということで、ほとんどの人はもらったレジ袋をすぐに廃棄はしていませんでした。レジ袋をもらわないことも重要ですが、一度使ったレジ袋をリユース(再利用)することも重要です。

一週間以内に買物をした店舗でレジ袋をもらったか?2020年3月計測時はもらった「69%」に対して、2020年11月計測時はもらった「28%」
【図1】環境省 令和2年11月レジ袋使用状況に関するWEB調査 P.2(PDF)|プラスチックスマート(外部サイト)

また、同調査によれば、この半年で約3割の人は「行動や意識に変化があった」と考えているようです。

レジ袋の有料化が始まって以降、プラスチックごみ問題への関心は高まったか?-関心が高まったとの回答が約5割
【図2】環境省 令和2年11月レジ゙袋使用状況に関するWEB調査 P.6(PDF)|プラスチックスマート(外部サイト)

環境省は「2020年3月時点で、レジ袋を1週間使わなかった人が約30%だったのを、12月で60%にすること」を目標として活動していました。11月に再調査を行うと、目標を超える71.9%という結果に。そういう意味では、啓発キャンペーンとしては成功したようです。

「ごみを減らす」「再利用する」の両面で取り組みが進んた結果ですので、スタートして半年の成果はなかなかだと言えるでしょう。このまま推移していき、人々の行動が変わっていけば、イギリスの「5年間で95%レジ袋使用量減」も夢ではないかもしれません。

ただ、レジ袋問題がすべて解決したわけではない

レジ袋有料化政策は「啓発キャンペーンとしては成功」と書きましたが、それによってレジ袋問題がすべて解決したかと言えば、なかなかそうもいきません。

一方、100円均一ショップでは「スーパーの買い物袋」のように名前の付いた、いわゆるレジ袋商品各種が販売されています。

「小売店でレジ袋をもらわないこと」が最重要ではなく、「レジ袋の消費量を減らすこと」が大切なんだと、多くの方は理解しているとは思います。それでも、日々の家庭ごみは、ごみ袋に入れる必要があり、その際にレジ袋が必要になるために、別途、レジ袋が購入されています。

このように、部分的には環境負荷へ配慮した消費のように見えて、俯瞰して中長期的・全体的に見てみると、あまりエコになっていないこともあります。

ここで、レジ袋を購入する人や、販売している企業を責めることは意味がありません。本来的にはごみ捨て場のルールから始まり、トータルでレジ袋を使わないライフスタイルが広がる必要があります。個人の心がけだけでは、限界があるでしょう。となると、個別のアクションだけではなく、私たちが生きていく上での生活様式全体を、見直していく考え方が大切になってきます。

これは、環境問題だけの話ではありません。多くの社会課題はつながっており、課題解決にはより広い視点が求められます。何か特定の施策だけで、社会課題が全般的に解決していくことはありません。ですので、あくまでもレジ袋の問題は、環境問題解決のひとつの方法論でしかありません。

在宅勤務によって増えたごみも

在宅勤務の風景
画像:アフロ

さらにこの半年は、コロナ禍によって在宅勤務をする人が増えています。外食を控える人が多い中で、その分、宅配サービスで食事を頼む人も増えています。当然ながら、配達には店舗で食事する以上の紙やプラスチックの包装がされています。

調理済み食材の包装なので再利用も難しく、そのほとんどは廃棄になります。環境負荷の低い包装も存在はしていますが、まだまだ値段の高いものが多く、導入してしまうと飲食店として利益が出ない現状もあります。また飲食店側も、従来は複数回利用していたゴム手袋の廃棄など、コロナ対策として余計なごみがでていることもあるでしょう。

世の中のすべてのプラスチックが紙素材になれば、プラスチックごみ問題を起点にした環境問題はすべて解決できるのか。これはNOです。そもそも紙素材であっても製造・リサイクル・廃棄などの過程で環境負荷が発生します。

レジ袋だけを考えれば有料化によって使用量が減少していたとしても、毎日の生活全体でみれば、それ以上にごみが新たに増えている実態もあります。

そういった視点で考えると、「包装は紙がよいかプラスチックがよいか」という議論に留まらず、やはり目指すべきは、包装がそもそもない計り売りや詰め替えなどです。

過渡期こそ、あなたの行動が必要なんです

砂浜に落ちているプラスチックごみ
画像:アフロ

繰り返しますが、プラスチックごみ問題はレジ袋の有料化だけで解決するわけではなく、これからも長く険しい道のりなのだと思います。

ただ、レジ袋有料化によって、一部の環境意識の高い人々だけではなく、日本国内のすべての人が強制的に"プラスチックごみ問題の当事者"になりました。これがレジ袋有料化の、最も大きな成果のひとつです。そこで感じた気づきや不満を、自分自身がどう考えて行動していくかが、半年経った今、求められています。

何かが大きく変化していく過渡期は、人々の意識やデータ、法律などが定まっていない状態です。過渡期は何かが進歩するときに必ず発生します。だからこそ、今、人々の行動が必要です。

個人の意識が変われば行動が変わり、行動が変われば結果が変わり、結果が変われば社会も変わっていく――と、私は信じています。今回のレジ袋有料化政策による人々の意識変革が、その第一歩となればよいなと思っています。

「レジ袋有料化」について、あなたの意見をぜひ、TwitterやFacebookといったSNSで発信してみてください。

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