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全国一斉にレジ袋が有料化 例外なくオリンピック開幕直前に実施か

エコトピア

様々なレジ袋

マイクロプラスチックによる海洋汚染の脅威を取り除くために、各国政府は使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいます。使い捨てプラスチックはポイ捨てされて劣化が進みやすいからです。日本政府がその中で力を入れているのがレジ袋の有料化です。例外を設けず、全国の小売店のすべてでレジ袋を有料化することを義務づけ、法律に定めるとしています。9月末に開かれた国の審議会では事業者団体はすべて賛成し、導入が固まりました。

ただ実施時期については、来年4月1日を目指す政府に対し、コンビニ業界が「猶予期間がほしい」と抵抗しましたが、オリンピック前の実施には反対はなく、7月のオリンピック開幕直前に導入される可能性が高まりました。

有料化はスーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター、デパート、一般商店など小売業のすべてに導入される見通しです。

有料化が決まるまでの舞台裏をのぞいてみました。

有料化導入を急ぐ政府

ゴミを分別する様子
容器包装リサイクル法のもとで自治体があつめた容器包装プラスチックごみ。レジ袋もかなり含まれている。作業員が仕分けするのも大変だ。東京都港区の港資源化センター。(杉本裕明氏撮影 転載禁止)

9月26日、東京都内でレジ袋有料化に関する経済産業省と環境省の合同会議が開かれた。初回の会合にさっそく素案がでたのは異例のこと。普通は委員らが意見を述べ、その後に関連団体からのヒアリング、さらに議論した上で論点整理を行い、報告書の素案を提示、さらに意見を述べ合い最終報告書へという流れだ。これが法案のもとになる。審議は1年以上が通例だ。

しかし、今回の合同会議はレジ袋の有料化の導入がすでに政府の方針としてあり、その見直し案の骨子が初回にいきなり提示された。

骨子案は

の4点。

この日、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど5つの業界団体などは、ヒアリングで「有料化は推進すべきだ」(日本スーパーマーケット協会)、「有料化は世界的な潮流。全面的に賛同し協力して参ります」(日本フランチャイズチェーン協会)。「有料化に同意します。SDGs推進委員会を立ち上げ話し合っている」(日本チェーンドラッグストア協会)と同意した。有料化に反対する団体はなく、有料化の実施が確定した。

ただ、コンビニ業界を代表する日本フランチャイズチェーン協会は「システムの変更や周知期間を考えると4月1日はとても無理」と難色を示した。スーパー業界がレジ袋を有料化したり、受け取りを断った客に料金を値引きしたり、ポイントを加算する対応で、レジ袋の辞退率は約5割。ただ最近は横ばいが続く。

それに対しコンビニ業界は、買い物袋を持ってくる客がいないなどスーパーとの業態の違いもあって有料化を導入しているコンビニはない。「レジ袋ご入りようですか」という声かけ運動をしているが、辞退率は約3%と低い。初めて導入することになり、「準備期間がほしい」と合同会議で繰り返した。

例外設けず、全国一律実施、料金は数円めど

様々なレジ袋
レジ袋は様々だが、国は手で提げる「取っ手」のついたものをレジ袋とするとしている。(杉本裕明氏撮影 転載禁止)

これに対する委員の意見は「7月に開幕するオリンピック直前まで伸ばすのはありえる」(大塚直早稲田大学教授)「一定の配慮は必要」(高村ゆかり東京大学教授)、「東京オリンピック直前にしてほしい」(池田三知子経団連環境エネルギー本部長)と、オリンピックまでの実施を前提に先送りを容認する意見が多く、「難しいというとどんどん後ろに行く」(吉岡敏明東北大学教授)と素案通り4月1日実施を求める意見は少数だった。

また、レジ袋の値段と収益の使途については、業界はみな、小売店の裁量に任せてほしいとの意見。これに対し、自由にすると0.1円で販売する店が出かねないとして、「最低の価格を定めるべきだと思う」(高村教授)、「1円以上にすると省令に書いてほしい」(大塚教授)、「価格の設定は必要」(湊元良明日本商工会議所部長)と最低限の価格を決める意見が多かった。

実際には1円とか2円といった最低限の料金を省令に書くことになりそうだ。そうしないと、例えば1枚0.1円で販売することで事実上規制をすり抜けてしまう小売店が出ないとも限らないからだ。スーパーなどでは2~5円でレジ袋が販売され、このレベルで有料化が進みそうだ。

有料化の対象外と考えられている生分解性やバイオマスのレジ袋について、どれぐらいの成分がプラスチックに含まれていれば対象外と見なすのかなどの問題点については次の合同会議で審議することになった。

今後は、2回目の合同会議を10月に開催、11月に取りまとめを行い、有料化の内容をまとめた報告書がパブリックコメントにかけられ、国民に意見を求める予定だ。

レジ袋を高くしてもあまり効果はない

取っ手のないロールで配置されているビニール袋。これは無料のまま。
スーパーには食品などを包む薄いプラスチックの内袋がロールで設置されている。レジ袋が有料化されても、これは無料のまま。(杉本裕明氏撮影 転載禁止)

ところで、レジ袋の値段について「高い料金にしないと消費者は使用を減らそうとしない」という意見がある。

例えば東京都の廃棄物審議会である委員が「有料にする場合には20~50円に設定しないとなかなか削減にはつながらない」と発言した。環境経済学が専門の細田衛士中部大学教授はこう語った。「最近のある研究で、0円から5円になるのと、5円から10円になるというのは質的な違いがあるという研究があります。つまり、無料から有料になりますよという瞬間に人々の行動は変わってしまう。それが5円から10円になるのは有料がちょっと上がるという幅の違いです。あまり価格に関して厳密に言ってしまうと、不当な利益が上がったりし、非常に慎重に自由度をもって意思決定したほうがいい」

現実に富山県では業者との協定方式でスーパーが5円に設定し、辞退率は9割を達成している。また、環境省が12社を対象に行ったサンプル調査でも2円であっても10円であってもレジ袋の辞退率はほとんど差がない。ただ、おなじ2円でも、値引きしたりポイントで還元する方式だと、辞退率は4割にとどまるが、有料化にすると7割を超える結果がでている。一律に有料化を導入したい環境省の主張を裏付けるデータの一つだ。

なぜ、こんなに急ぐのか

ビニールが分厚い袋。
分厚いプラスチック製の袋。何回も使えるため、これは有料化の対象外となる。(杉本裕明氏撮影 転載禁止)

それにしてもなぜ、レジ袋の有料化を急ぐのか。実はこの有料化は、2018年10月環境大臣に就任したばかりの原田義明氏が初の閣議後記者会見で、「レジ袋の有料化を検討したい」と発言したことから始まった。

すでに官邸から2019年6月に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にプラスチック資源循環戦略をまとめることを要請されていた環境省は、戦略づくりのための委員会を立ち上げ審議が始まったばかり。この発言がきっかけで、レジ袋の有料化は使い捨てプラスチックごみ削減の有力な対策として重要視されることになった。

さらに6月に大阪で開かれるG20サミットの直前、原田大臣は臨時の記者会見を開き、レジ袋の無償配布をしないことを法令で新たに定める方針を発表した。導入時期はオリンピック前だとの見通しを示した。それをもとにG20サミットが開かれ、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意され、日本は途上国への支援を含め、実現に取り組むことになった。

東京オリンピックはその日本の取り組みを見せるひのき舞台となった。レジ袋についてはすでに60カ国以上が有料化や無料配布の禁止に取り組んでいながら、日本ではスーパーを中心とする小売店の一部が有料化などの削減策に取り組んでいるにすぎず、緊急に達成する重要事項となったようだ。

有料化実施は経団連が後押し

それを後押ししたのが、実は経団連だった。普段は環境省の政策にブレーキをかけることが多いが、ことレジ袋については例外をつくらず全国一律の有料化を求める意見書を昨年11月に提出している。経団連が有料化を求めればその傘下にあるコンビニ業界はじめ小売業界も反対できない。

ある業界関係者が語る。「小売業界は経団連での発言権が弱いから」。抵抗勢力のないのがレジ袋の世界だったというわけだ。

それに有料化によって費用を負担するのは消費者。小売業者はむしろ収益となる。これまで、コンビニやドラッグストアが反対してきたのは競争が激しい業界で、有料化したら無料頒布の店に負けてしまうからだ。しかし、全国一律なら反対する理由はない。

環境省と経産省は共同でやすやすと素案造りを進めることになった。

実施時期はオリンピックの開幕直前か

実施時期について、環境省は「スピード感が大事」(山本昌宏・環境再生・資源循環局長)と意欲的だが、初の有料化とあって経験のないコンビニ業界は「猶予期間がほしい」と要望した。だが、「オリンピック前の6、7月ならできるのか」との委員の質問に、反対の声はなく、オリンピックの開幕直前に実施される可能性が高まった。

これによって各業界では急ピッチでの準備を進めることになる。値段をいくらにするか、これまで通りの薄っぺらくすぐに破れてしまうレジ袋のままでいいのか、客からクレームをつけられたらどう対処するのか、レジ袋の代わりに紙袋を用意するかなど、検討課題は多い。

合同会議では、生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックの扱いも論議された。政府は有料化の対象から外す(無料でもいい)とし、小売業界も同調している。しかし、プラスチックにどの程度のバイオマスが含まれるとバイオマスレジ袋と認められるのかなど、線引きが難しい。中村崇東北大学名誉教授は「配合率、性能などいろいろ技術的な裏付けがないと。半年で答えを出すのは難しい」と課題を述べている。

いずれにしても、公平性を保つために、ほんの少しバイオマスを含むようなレジ袋を無料頒布の隠れ蓑にさせないことが重要となる。

プラごみの総排出量900万トンのうちレジ袋は数%を占めるにすぎない。しかし、細田教授も言うように、レジ袋の有料化によって国民の行動様式を変えるきっかけになるかもしれない。

  • 文・取材杉本裕明

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