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漁獲量が減ってしまっているのは万国共通?

海といのちの未来をつくる

停泊する漁船を上空から撮影

近年、魚の漁獲量が減っているというニュースを聞くことが多くなってきました。
漁獲量の減少と聞くと世界中で魚の獲れる量が減っているように感じてしまいますが、実際は世界全体の漁獲量が減っているわけではありません。

世界全体で見ると養殖も含め漁獲量は年々増加しています。しかし日本の漁獲量は1990年代から大幅に減少しているのです。
日本の漁獲量はどうして減少傾向になっているのでしょうか?

海外の漁船

日本の魚の漁獲量はこんなに減少している

日本と世界の水揚げ量推移
世界と日本の水揚げ傾向を比較 FAOと農林水産省データより作成

データによると1988年に世界の水産物の漁獲量(天然+養殖)は1億トンを超えました。
1988年の日本の漁獲量は約1,200万トンで、漁獲量が年々増加しピークに到達した時期でした。

2016年に入ると世界の漁獲量は2億トンに達し、1988年に比べ倍増し順調に増加しています。一方、日本の漁獲量は約400万トンしかなく、ピーク時の1988年に比べると3分の1に減少しています。

このように、世界の漁獲量は順調に増加しているのに、日本の漁獲量は1988年以降大きく減少しています。
この日本の漁獲量の減少傾向は一体何が原因なのでしょうか。

考えられる漁獲量減少の理由

なぜ世界の漁獲量は増加しているのに日本は漁獲量が減少しているのでしょうか?
その理由として一般に以下のようなことが言われています。

  • 地球温暖化
  • 魚の獲りすぎ
  • 日本に回遊する前の魚を外国の漁船が獲ってしまう
  • レジームシフト(気候の数十年規模の変動)
  • くじらが食べてしまう
  • マイワシの減少
  • 違法漁業の横行
  • 黒潮大蛇行
  • 漁業従事者の減少

このようにいろいろな理由をあげることができます。もちろん上記の理由も、日本の漁獲量の減少に何かしらの影響を与えていると考えられます。しかし、上記の事項は日本近海だけに起こることではなく、世界中の漁場で起こり得ることが多いのです。またあまり公海上にまでは回遊していないホッケのような魚も減ってしまっています。

例えば全体の漁獲量に与える影響が大きいマイワシの減少について考えてみましょう。

マイワシ

日本の漁獲量の減少要因の一つとされているマイワシの漁獲量は、東日本大震災が起こった2011年以降、大幅に増加傾向になっています。そして、2017年には漁獲量は50万トンに達し(2018年は52万トン・前年比4%増)、全体の水揚げ量の低下を少しでも押しとどめる役目をしています。
それにもかかわらず、日本全体の漁獲量は減少を続けているのです。

このようにマイワシの減少は、現在直面している日本の漁獲量減少の本当の理由ではないと考えられます。
それでは日本の漁獲量が減っている本当の原因は何でしょう。

魚を減らさないために適用されている方法やツールとは?

政府は2018年、水産物の資源管理システムに「国際的にみて遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法の実現」に向けた対策を進めて行く指針を示しています。

そこで、国際的にみて持続可能な漁業としての認証取得が進んでいる米国漁業(アラスカ)の例を見てみましょう。

アラスカでは、魚種ごとにばらつきはあるものの、漁獲量は一時的な減少があっても再び増加して回復するというサイクルを繰り返しています。また、持続可能な漁業に関する国際的な水産エコラベル認証である「MSC認証」を取得している漁業で獲られた水産物の割合が、漁獲量全体の8割を超えています。

海のエコラベルとも呼ばれる、MSC認証。
日本版のMSC認証マークです

MSC(Marine Stewardship Council・海洋管理協議会)認証とは、「海のエコラベル」と呼ばれる青いラベルのことです。このラベルは、いつまでも天然の魚を食べ続けることができるように、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られたシーフードに与えられる認証エコラベルです。

海外の漁船

国際的な資源管理の指標として「MSY(Maximum Sustainable Yield=最大持続生産量)」というものがあります。MSYとは「魚を減らすことなく獲り続けられる最大数量」としての指標です。

例にあげたアラスカでは「MSY」を維持するように漁業が行われています。もちろん、海の中の資源量を正確に把握することは容易ではありませんので、その場合には「予防的アプローチ(※)」が適用されます。

海の憲法と呼ばれる「国連海洋法条約」にも、沿岸国として、EEZ内(排他的経済水域)の水産資源を「MSY」レベルとすることが記されています。国連海洋法条約は、日本も1996年に批准しています。

(※)深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、科学的確実性がなくとも、費用対効果の大きい対策をとること。

日本の排他的経済水域を表す図
出典:海上保安庁

日本の場合、資源評価データがある魚種で試算したところ、「MSY」を維持できているのはわずか1割程という結果がでています。漁獲量の減少を止めるために、日本でもアラスカなどの管理を参考に、持続的な水産資源の利用を推進していかなければなりません。なお、2020年までに水産資源を少なくともMSYレベルにまで回復させることは、国連で2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の14(海の豊かさを守ろう)の目標の中に含まれています。

SDGs 14 のロゴには、「海の豊かさを守ろう」というキャッチコピーがある

具体的な目標(ターゲット)として、SDGs14.4に「2020年までに、漁獲を効果的に規制して、乱獲や違法、無報告、無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を撤廃し、科学的情報に基づいた管理計画を実施することにより、実現可能な最短期間で水産資源を、少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる持続的生産量のレベルまで回復させる。」と記されています。

これ以上魚を減らさないために消費者ができること

海外の漁船

日本近海の魚がこれ以上減らないようにするために、消費者としての私たちができることは何があるでしょうか。

その一例として、「海のエコラベル」であるMSCラベルの付いた魚を選んで購入することなどが考えられます。

おいしい魚を食べ続けるためにも、我々消費者も意識と行動を変えて水産資源を守る必要があるのではないでしょうか?

\ さっそくアクションしよう /

海や魚にまつわること、水産物の世界、魚の味わい方などについて知ることが、海の豊かさを守ることにつながります。

海といのちの未来をつくる(外部サイト)
https://umito.maruha-nichiro.co.jp/

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