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なぜそんな進化を? 光合成をしないのに、葉緑素を持つ生物がいた!

イノカ

サンゴに寄生する生物
Credit: Patrick Keeling Lab, UBC.

こんにちは、本日はサンゴに寄生する生物についての研究を紹介します。
内容は「葉緑素を持つのに光合成をしない、サンゴに寄生する面白い生物を発見した」というものです。

サンゴに寄生する生物 "corallicolid"

今回研究者たちは"corallicolid"という新種の寄生虫を発見しました。
この寄生虫はとても面白い性質を持っていたので、この生物について話していきたいと思います。

まず、"corallicolid"はアピコンプレクサ類というマラリアの原因となるマラリア原虫と同じ寄生生物のグループに属し、サンゴの胃腔に生息します。世界のサンゴの70%においてその存在が確認されたので、"coral"をもじって命名されたそうです。

面白いことに、この生物は地球上でサンゴと同居する生物の中では二番目に個体数が多いそうなのですが、今までその存在が全く知られておらず、今回の研究で初めて存在が明らかになったのです。

そしてこの生物についてのもっとも面白い発見は、寄生生物に見え、光合成をしないことは確かであるにも関わらず葉緑素を生成する遺伝子を持つということでした。

葉緑素と光合成の関係

葉緑素は植物や藻類に存在し、光合成において太陽光からエネルギーを得るという重要なプロセスに必要な緑色の物質です。

葉緑素は光合成を行う生物にとってとても重要な物質であることはよく知られていますが、光合成を行わない生物においては非常に危険な物質にもなり得るということはご存知でしたか?

実は、葉緑素自体はエネルギーをとても吸収しやすいため、吸収したエネルギーを光合成に利用するというサイクルがなくなってしまうとエネルギーを溜め込んだ"爆弾"を細胞の中に保持しているのと同じ状態になってしまうのです。

今回発見された"corallicolid"はこの常識に反して、光合成をしないにも関わらず葉緑素を作る遺伝子を持つ初めての生物なのです

海の中に広がる無限の可能性

数十年前にアピコンプレクサ類に関連のある、光合成を行う藻類が健康なサンゴ礁から発見されており、今回発見された"corallicolid"はサンゴと共生していた光合成を行う生物から進化したのではないかと考えられています。

この進化の過程でなぜ葉緑素を作る遺伝子が残ったのか、現在彼らの生体内で生物学的にどのような現象が起こっているのかなど、彼らの存在が我々が見たこともない新しい生物反応・遺伝を明らかにするのではないかと夢を膨らませて研究者たちはさらなる研究を行う予定だそうです。

この発見の論文は、世界一有名な学術雑誌である『Nature』に載りました。

今後もこのような研究を加速させるには、飼育が困難なサンゴの飼育方法を確立するなどのアプローチが必要だと考えられます。

\ さっそくアクションしよう /

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